循環型社会への移行は、気候変動緩和の点から実現が望まれる。
その実現のための必要なことは何か。
背景
2020年の国際資源パネル(IRP)作成のファクトシート「G20の天然資源の使用」では、天然資源の採掘・加工は日本による気候変動への影響のおよそ50%と示されています。循環経済(サーキュラーエコノミー)社会への取り組みは、気候変動緩和のためにも不可欠です。
SDGsの目標12(つくる責任 つかう責任)を掲げている企業は多くあると思います。しかし、目標12の中のターゲット12.2では、「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する」となっています。さて、日本政府およびSDGs に取り組む企業は、2030年までに天然資源を持続可能な管理できるでしょうか。
図1に示すように日本の入口側の循環利用率は、ここ10年伸び悩んでいます。また、日本の一人当たりのマテリアルフットプリント(最終需要を満たすための資源採掘量)は、図2に示すように増加はしていませんが、G20の平均を大きく上回っています。
図1.入口側循環利用率
図2.一人当たりマテリアルフットプリント
(出典: 国際資源パネル「G20の天然資源の使用」
課題
天然資源を持続可能になるよう管理し、効率的な利用を実現するためには、循環型社会への移行が必要です。
次回以降のコラムに、循環型社会に移行するための課題を、「つくる責任、つかう責任」を少し展開し、「適切に素材をつくる責任」、「適切に素材を製品につかう責任」、「適切に素材を使用した製品をかう責任」の観点で示します。さらに、それぞれについて政府やNPO等の施策の観点から「適切に素材をつくらせる責任」、「適切に素材を製品につかわせる責任」、「適切に素材を使用した製品をかわせる責任」の観点も加えて示していきたいと思います。
2000年に制定された「循環型社会形成推進基本法」の第19条には「国は、再生品に対する需要の増進に資するため、自ら率先して再生品を使用するとともに、地方公共団体、事業者及び国民による再生品の使用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。」とされています。また、経済産業省の資源循環ハンドブックに示されている循環型社会の形成の推進のための施策体系には、グリーン購入法(国等が率先して再生品などの調達を推進)が位置づけられています。まず次回は「かう責任」に関して課題と解決に向けた施策について示したいと思います。
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