
20年以上前から望まれているグリーン購入。
気候変動対策に貢献しているだろうか。
どのような購入活動が有効だろうか?
背景
グリーン購入は、地球温暖化や廃棄物の問題が大きくなり、1996年にグリーン購入ネットワーク(GPN)の設立、2000年にグリーン購入法が制定されるなど20数年が経過しています。元々の経緯からすると、地球温暖化や廃棄物問題に関して、どの程度の効果があったかは気になるところです。廃棄物問題に関しては、当コラム12に記載しましたが、大きな効果はなかったと思います。気候変動対策に関しては、効果はあったでしょうか。また、より効果的にするためにはどのような行動が望まれるか、今回は家庭での行動に関して検討したいと思います。
効果について
家庭での温室効果ガス排出量が最も大きいのは、図1に示すように使用する電力由来の排出で、次が自家用車利用による排出です。これ以外に企業ではSCOPE3排出量にあたる購入品や交通機関の利用を含めたサービスが提供されるまでの排出があります。家計消費で大きなウェイトを占める食品に関して、図2に示すように食肉は需要重量が少ないものの排出量は最も大きくなっています。食品の購入においては、食肉以外は輸送距離が短い地産品が良いですが、食肉関しては、大量の穀類を使って生産しているために、輸入品の方が良いものが多くなります。ただし、グリーン購入を気候変動対策視点で考えた場合は、摂取量の大場削減も困難ですし、排出量を大幅削減できる選択肢もありません。従って、これまでのところは残念ながら大きな効果は得られていないと思います。
図1. 世帯当たり年間エネルギー種別CO2排出量
出典:国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ(1990~2020年度)確定値」
図2.日本人の食に関連するカーボンフットプリント及び物的消費量の割合(2017年)
出典: 令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
今後、期待される行動
①電力の選択について
電力の排出量が最も大きいことと、再生可能電力利用というカーボンニュートラルを実現できる選択もあるので、家庭で気候変動対策に考慮してグリーン購入を行うなら、購入している電力に関して考えることが最も重要です。現在は、再生可能エネルギーで名が知れた地域新電力においても、FIT電力として環境価値を含めて一般送配電事業者に売却しているなど自社電力量割合が少なく、多くを電力卸売り市場から調達しているのが実情です。そのため再エネメニューを除いた事業者全体の調整後排出係数は表3に示したように、大手電気事業者と大きな差はなく、販売量が増加すると卸市場からの調達割合が増加し、排出係数は増加する傾向が見られます。この点について考慮して電力の契約先を選ぶことが必要です。
表1.電力会社の CO2調整後排出係数(令和2年実績事業者全体)
電気事業者名 | CO2調整後排出係数 t-CO2/Kwh |
みやまスマートエネルギー | 0.000434 |
中之条パワー | 0.000468 |
浜松新電力 | 0.000325 |
岩手ウッドパワー | 0.000388 |
東京電力エナジーパートナー | 0.000441 |
関西電力 | 0.000351 |
九州電力 | 0.000370 |
出典: 電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)
-R2年度実績(R4.2.17一部修正)から抜粋
②ガソリンについて
2番目に多いのは、ガソリンの燃焼による排出です。グリーン購入としては、電気自動車(EV)、低燃費車に買い替えることがありますが、EVについては前項に記載しましたCO2排出係数の小さい電力への契約変更も重要となります。他に効果があるのは、できる限り公共交通機関の利用に置き換えるということも考えられます。
③都市ガス等の燃料について
都市ガス等は給湯器、コンロ、暖房等の使用によるものです。機器購入時の選択しとして電化が考えられますが、購入電力のCO2排出係数を大幅に下げない限り、ほとんどの場合で電化は逆効果になります。給湯器をエコジョーズなどの効率の良いものに置き換えることは有効です。
以上のようにグリーン購入の点で、気候変動対策に大きな効果を上げるものは電力の契約を見直すことで、実現できれば大きな効果を生むでしょう。
このコラムについて、ご意見やご質問があれば、遠慮なく頂ければと思います。
宜しくお願い致します。