北極海氷は2012年9月に最小となったが、それ以降10年間その値を下回っていない。
北極海氷は消滅するのだろうか?
最近はマスコミの報道は、気候変動は疑いようのないものとして、客観性に欠けているように感じることがあります。確かに、地球の温暖化は確実に進んでおり、気候変動による被害も拡大しています。温室効果ガスの排出削減は緊急課題として実施すべきでしょう。
しかし客観的な事実は正しく伝えられ、正しく判断することが望まれるのではないでしょうか。
例えば、NPO等が北極海氷の減少が続いており、海氷が消滅することを危惧した発信をしています。しかし、事実は常に確認する必要があると思いますので。北極海氷に関しての状況を確認してみました。
極域環境監視モニター[i]のデータでは、北極海氷の面積は2012年9月16日に最小となりました。
しかし、それ以降、それを下回っていません。図1に示すように1980年代から2012年までは、早いスピードで減少し、面積は半部以下になりましたが、それ以降は減少傾向が見られません。北極海氷は図2に示すように、9月に最小になり、冬場に向けて面積が拡大するサイクルを繰り返します。
日本社会での同調圧力は、公平・公正な客観的事実を伝えなくなる、知ろうとしないことに原因があるかもしれません。以前の温暖化防止に否定的な時期や、ウクライナ関連の報道でも気になることがあります。常に客観的な事実が伝えられ、真実に基づき行動することが望ましいと思います。
一方で、ここ10年は北極海氷の減少は収まっているようにみえますが、確たる原因も判明していないようですし、再び減少傾向に転ずることも否定できません。
再び減少傾向に転じれば、取り返しのつかない事態が待っているかもしれません。
最近日本海側を中心として起きている「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ: Japan sea Polar air mass Convergence Zone)」による記録的降雪も、日本海の海水温上昇とシベリアからの寒気によるものとされています。北極海氷の大幅な溶解が起きれば、日本を取り巻く海水の温度変化による気象の変化は、過去に例のない災害をもたらすかもしれません。
北極海氷の減少が収まっていることに安心せずに、常に事実を確認し、後悔のないように、気候変動緩和に向けて最大限の努力を行うことが望ましいでしょう。
以上