
地球温暖化対策計画(案)では温室効果ガスを2013年度比で2035年度に60%、2040年度に73%削減と示されました。
同時に提示された第7次エネルギー基本計画(案)とGX2040ビジョン(案)と合わせて変更あるでしょうか。
背景
2024年12月27日に地球温暖化対策計画(案)が公示され、2025年1月27日締め切りで意見が公募されました。同じ日に第7次エネルギー基本計画(案)とGX2040ビジョン(案)も公示され、意見公募が行われました。気候変動に危機感を持っている組織や原子力に反対の方々が多くの意見を出されたようですが、大きな変更は行われるでしょうか。ここでは公示された案について記します。
地球温暖化対策計画(案)
地球温暖化対策計画(案)に示された2035年度、2040年度の目標は下図のように2013年度比でそれぞれ60%、73%削減です。パブリックコメントに対する意見として多いのは、2035年度の目標が図にあるようにIPCCの1.5度の経路に対して十分でないことであると思われます。
図1.日本の新温室効果ガス削減目標
出典:地球温暖化対策計画(案)の概要(第52回地球温暖化対策推進本部)より
2月10日が気候変動枠組条約締結国会議での各国次期削減目標の提出期限であり、日本からはおそらく前述の目標案が提出されることになるでしょう。その後、他国やNGO等から評価や批判され、今年11月にブラジルのベレンで行われるCOP30において議論され最終決定することになるでしょう。
目標達成に向けて様々な取り組みの必要性が示されており、下記にその例を示します。
①中小企業を含めたすべての企業と国民が対応しなければならない
・脱炭素化を目指し、グローバルにサプライチェーンの取引先を選別する動きも加速しており、我が国においても、取引先から排出量の計測やカーボンニュートラルへの協力を要請された中小企業の割合が2022年には2020年から倍増するなど、大企業のみならず中堅・中小企業も含めたサプライチェーン全体での脱炭素経営が進展している。
・目標達成のためには「政府、自治体、企業、国民一人一人に至るまでのすべての主体の参加・連携を確保しつつ、本目標、ひいては2050年ネット・ゼロの実現に向けて、パリ協定に基づき、誠実に対策・施策を講じていく必要がある。」
・地域経済の中心的な担い手である中小企業等の脱炭素化については、地域における産業政策事務を都道府県等が主導していることを踏まえ、取組が困難な中小企業等に対し、技術的な助言や人材育成の支援等の措置を積極的に講ずるように努める。
②J-クレジット制度の活性化
・自主行動計画の目標達成を含む排出量のカーボン・オフセットや財・サービスの高付加価値化等に活用できるクレジットを認証するJ-ク レジット制度の更なる活性化を図る。
・個人や中小企業等の省エネルギー・再生可能エネルギー設備の導入に伴い生じる環境価値のクレジット化を進めるため、国等の補助事業の更なる活用や、省エネルギー機器等を導入する様々な中小企業や個人の温室効果ガス削減活動を省エネルギー機器メーカー・リース会社・商社等が主体となって一つのプロジェクトとして取りまとめることを促進する。
政府実行計画
地球温暖化対策計画と連動して進められる政府実行計画において、政府は前述の国の目標よりも上積みし、総排出量を2030年度までに50%、2035年までに65%、2040年度までに79%削減するとしています。
その中でグリーン購入についても下記のような記載があります。
・「カーボン・オフセットを含め、温室効果ガスの排出削減に資する製品をはじめとする環境物品等への需要の転換を促すため、グリーン購入法に基づき、国は環境物品等の率先的調達を行う。」特に、少数企業しか応札できない、製造コストが高いことなどにより活用が広がっていない又は今後の普及が見込まれる優良な環境製品・技術・サービスについて、国が率先して調達する方針を示すことで、政府として初期需要創出に貢献する。
政府の役割は非常に大きいので、今後の政策についても注視していく必要があるでしょう。